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【相続法改正】遺産分割・遺留分
かわら版
~石井会計かわら版 令和4年8月号より抜粋~
【相続法改正】遺産分割・遺留分
1. 特別受益と寄与分の主張に十年の期間制限
(1)改正点
遺産分割がされないまま相続が繰り返された場合、所有者不明土地の問題が生じます。これを解消するべく、23年4月1日より民法の一部改正が行われます。民法903条に規定する「特別受益者の相続分」について、新たにその期間を制限する条文が追加されました。
改正後:特別受益者の相続分および寄与分の規定は、相続開始の時から十年を経過した後にする遺産の分割については適用しない。(第904条の3より抜粋)
※特別受益とは、相続人の中に、被相続人から遺贈や生前贈与によって特別の利益を受けた者がいる場合に、その者が受けた利益のことをいいます
改正後は、特別受益に当たる贈与がある場合や、被相続人に対する介護等の寄与分がある場合、相続
開始の時から十年以内に遺産分割協議を行う必要があります。
(2)遺産分割等に関連する手続きの期限
遺産分割協議:法律上の期限なし(特別受益・寄与分は10年を過ぎると主張できない)
相続登記:3年以内
相続税申告:10か月以内
2. 遺留分の見直し
(1)遺留分減殺請求から遺留分侵害請求へ
改正前:遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び特別受益にあたる贈与の減殺を請求することができる。(前第1031条)
改正後:遺留分権利者及びその承継人は、受遺者又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。(第1046条の1)
従前は、遺留分権者において不動産などの相続財産は遺留分減殺請求→共有仏分割訴訟というプロセスを経て金銭債権化する必要がありました。
しかし18年の改正により、物権的な効力を有する「遺留分減殺請求権」から金銭の支払請求権である「遺留分侵害額請求権」となり、遺留分が直接金銭債権化し、遺留分権者において時間的・金銭的負担が大きく軽減されることになりました。
(2)遺留分侵害額請求権の時効と排斥期間
遺留分侵害請求権は相続が開始したことおよび遺留分を侵害する遺贈や贈与があったことを知ってから一年以内に行使しなければ時効により消滅します。
また、遺留分を侵害する遺贈や贈与があったことを遺留分権者が知らなくても、相続開始後10年で排斥期間の経過により権利が消滅します。
詳細はこちら(PDF)からご参照ください。 ※新しいウィンドウが開きます
令和4年8月
税理士法人石井会計