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節税保険をめぐる行政処分について
かわら版
~石井会計かわら版 令和4年8月号より抜粋~
節税保険をめぐる行政処分について
1. 業務改善命令の要旨
金融庁は7月14日「節税保険」の販売をめぐり、マニュライフ生命保険に対し保険業法に基づく業務改善命令を出しました。
租税回避行為を指南するような営業手法や節税保険の開発・販売実態について組織性や悪質性が高いと判断、節税保険をめぐる行政処分は初めてとなります。
マニュライフ生命保険では「名義変更プラン」と呼ばれる商品を前面に押し出して販売。金融庁は、節税効果を強調し本来の趣旨から逸脱した販売手法を問題視し、行政処分を下しました。
2. 名義変更プランの仕組み
名義変更プランで多く用いられるのは「解約返戻金が最初は低く設定され、一定期間経過後大きく上昇する」法人保険(主に介護保険や、低解約返戻金型逓増定期保険)です。
個人名義に変更するためには、個人はその保険を名義変更時点での解約返戻金相当額で買い取ることになりますが、その時点での解約返戻金の額は低いため、法人が払ってきた保険料と比べ負担が抑えられます。また、法人についても名義変更時に損金を計上することができるというメリットがあります。
この仕組みを利用し、名義変更前は保険料を損金算入し法人税を節税、役員への退職金に備え、さらに個人名義へ変更した後の解約返戻金については個人の「一時所得」の扱いとし、特別控除などの税法上のメリットを受けることができるため、税負担を抑えることが可能となっていました。
3.金融庁の判断
(1)低解約返戻金型逓増定期保険を利用した節税を、租税回避行為と判断した
(2)19年の国税庁による所得税法基本通達の改正にも関わらず「個人年金保険」による「名義変更プラン」を抜け道として営業推進したことを悪質性が高いと判断した
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令和4年8月
税理士法人石井会計