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事業承継M&Aの税務
その他税務所得税経営
M&A最前線 バトンを継なげ!
~第1章 事業承継型M&A~
第4回「事業承継M&Aの税務」
中小企業の事業承継M&Aでは、取引対価が高額になることも少なくなく、採用するM&Aスキームによって税負担が大きく異なる場合があります。
M&Aの税務知識があれば、売り手側では税引後手取額をより多くできる可能性、買い手側でも株式取得資金等を準備しやすくなる可能性があります。
M&Aスキームとしては、「株式譲渡」と「事業譲渡」等がありますが、中小企業の事業承継M&Aでは「株式譲渡」スキームが中心です。
本稿では「株式譲渡」スキームにおけるM&Aの税務について、基本的事項を中心に紹介します。
Ⅰ.売り手側の税務
「株式譲渡」スキームでは、取引対価を「役員退職金」と「株価」に配分することが一般的です。
1.役員退職金に対する課税
役員退職金は分離課税(他の所得と合算無し)対象の退職所得として、最高税率約28%です。

2.株式譲渡収入に対する課税(個人株主の場合)
(1)原則的な計算
株式譲渡収入は分離課税対象の株式譲渡所得として、一律税率20.315%です
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(2)ミニマムタックス課税に注意!
株式の取引対価が高額の場合、ミニマムタックス課税としての追加課税の可能性があります。
ミニマムタックス課税は、ミニマム税率までの所得税を追加課税する仕組みで、「原則的な計算による所得税額<ミニマム税率による所得税額」の場合に、その差額が追加課税となります。
特に令和9年以後は、ミニマムタックス課税が強化されます。
所得に占める分離課税対象の所得(株式譲渡所得等)の割合が高い人は影響を受ける場合があり、例えば、総合課税対象の所得が無くて株式譲渡所得のみの場合、所得が3.37億円(改正前10.33億円)を超えると追加課税となります。

3.役員退職金と株価の配分(個人株主の場合)
仮に令和9年以後のM&Aで、①取引対価10億円(役員退職金+株価)、②株式取得費1億円、③役員在任期間30年の場合、「役員退職金」と「株価」の配分に応じて税引後手取額に以下の影響があります。

Ⅱ.買い手側の税務
一定要件を満たす中小企業がM&A前に所定の手続・認定を受けた場合、課税の繰延ができる特例税制があり、株式取得資金等を確保しやすくなることが期待できます。
(代表社員 税理士 中野 正人)
