お役立ちQ&A
税務調査のポイントについて
かわら版
~石井会計かわら版 令和5年6月号より抜粋~
税務調査とは、税務署・国税局等が更正の要件として課税標準や税額等の変更が考えられる場合に、申告内容を確認し、非違事項があれば更正もしくは修正申告の勧奨をする手続きです。手続きは、調査対象となる納税者の選定から始まり、納税者と接触する前に、事前に日程等の通知、申告書、決算書、科目内訳書、その他の情報等の検討、また必要に応じ外観(主に店舗等)のチェックを行ったうえで、納税者の元に赴き調査を行い、問題点を抽出したうえで納税者側の意見を聞き、非違事項があれば更正(または会社側からの修正申告)を行うという流れになります。
税務調査に立ち会うと、調査官が過去数年にわたり売上や利益率の異常な変動等がないか、また、その要因は何かを把握するため事前に決算数値5期分程度を一覧表にし、チェックしている場合があります。前回調査以降の会社の状況を財務等の視点で把握し、かつ、異常値を事前に把握しておけば、調査
を効率的に進められることになります。
調査官のチェックポイントが分かっていれば、それに対する準備が可能で、調査対応をスムーズに行えます。
①損益計算書のチェックポイント
会社は確定申告時に、法人税申告書、決算書、勘定科目内訳書、概況書を提出しています。加えて、毎月の所得税徴収高計算書を提出していますので、この範囲内の情報は調査官に把握されています。この中で特にチェックするのは損益計算書と貸借対照表ですが、損益計算書は益金・損金に直接かかわる損益取引の項目なので特に重要です。
売上は会社の本業での収益の源泉であり、売上、売上総利益率の大幅な増減は重要なポイントとなります。これは売上除外や架空仕入れ、在庫等棚卸資産の計上漏れと直接関係する事項なので、慎重に確認を行います。また、これらは外部要因としての社会・経済的な事情(例:円安、資源不足等)や業界のトレンドも関係している事項なので、それも踏まえて対象会社の状況を確認します。逆に、外部要因が大きく変化しているにもかかわらず売上等に変化がない場合は、会社特有の事情があると考えられますので、確認するところとなります。
なお、調査官が他の調査や内部告発・投書等の情報に基づいて、ある特定の取引に注視している場合は、具体的に関連する項目等をピンポイントで確認します。特に、売上除外や架空仕入れ、架空人件費等の重加算税が想定される取引は、仮装隠ぺいの事実確認を行うことが重要なので、その取引に関係するキーマン(先に会社概要の説明時に、組織図等で役割分担を確認済み)から直接状況や事情、証拠書類等を確認することとなります。役員や従業員による不正の場合、事前に会社がそれを察知することは、余程のことがない限り難しいものと思われます。したがって、通常のフローと異なる取引、特定の者しかかかわらないような取引等があるような場合は、事前に内容を把握しておくべきでしょう。
詳細はこちら(PDF)からご参照ください。 ※新しいウィンドウが開きます
令和5年6月
税理士法人石井会計