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持株会社によるグループ経営
経営
M&A最前線 バトンを継なげ!
~第1章 事業承継型M&A~
第7回「持株会社によるグループ経営」
1.持株会社(ホールディングス)とは?
近年、大企業だけでなく、中小企業においても「持株会社」を活用したグループ経営が増えてきています。
「持株会社」とは、複数の会社の株式を保有し、グループ全体を管理する会社です。
例えば、現在1つの会社で「本業」「不動産管理業」「新規事業」など複数の事業を行っている場合、持株会社を設立して、持株会社の下に事業会社A(本業)、事業会社B(不動産管理業)、事業会社C(新規事業)という形に組み替えることができます。
こうすることで、それぞれの事業の経営責任を明確にしたり、将来の事業承継を考えやすくしたりすることができます。
特に、複数の事業を展開している企業や、親族内承継・第三者承継を検討している企業にとって、持株会社は「会社を残す」だけではなく、「会社を次の世代に繋ぐための仕組み」として活用できる場合があります。

2.持株会社の型
持株会社には、2つの主要な型があります。
1)純粋持株会社
純粋持株会社は、自ら特定の事業を行わず、子会社の株式を保有しグループ全体の経営管理を行う会社です。
経営戦略や資金管理、人材配置などを持株会社が担い、各事業会社がそれぞれの事業に専念します。
2)事業持株会社
事業持株会社は、親会社として傘下の子会社の株式を保有しながら、自らも事業を行う会社です。
多く企業がこの形態を採用しています。
3.持株会社化のメリット・デメリット
持株会社化の大きなメリットの一つは、「事業ごとの経営を分けて考えられる」ことです。
例えば、本業は長男、新規事業は次男、不動産管理業は別会社というように、それぞれの事業について責任者を明確にすることができます。
また、将来の事業承継を考える場合にも、事業ごとに承継方法を検討する事が可能です。
さらに、M&Aによって他社をグループに加える場合にも、持株会社の下に子会社として組み入れることで、既存事業との関係を整理しながらグループ全体を運営することが可能です。
一方で、デメリットもあります。
会社が増えることで、経理・税務・社会保険などの管理コストが増加する他、会社間取引や資金移動などのルールを明確にする必要があります。
4.持株会社の活用
では、持株会社はどのように活用できるのでしょうか。
創業者が1つの会社で複数の事業を行っている場合、次の世代では、「誰がどの事業を担当するのか?」「兄弟で経営する場合、株式をどうするのか?」「新しい事業を始める場合、既存事業とどう分けるのか?」といった問題が出てきます。
このような場合、持株会社を中心にグループを再編することで、「所有」と「事業経営」を整理するという考え方ができます。
また、自社で新規事業を立ち上げるだけではなく、M&Aによって既存企業を買収し、持株会社の傘下に加えることで、「自社の成長」+「M&Aによる成長」を同時に進めることも可能です。
つまり、M&Aは「会社を買うこと」で終わるのではありません。
買収後にどのようなグループをつくり、どのように経営していくのかまで考えることが重要です。
大切なのは、「持株会社をつくること」ではなく、「10年後、20年後にどのような会社の姿を残したいのか」を先に考えることです。
事業承継、M&A、組織再編、持株会社化。これらは別々の制度・手法に見えますが、経営者にとっては、すべて「会社を次の世代へどう繋ぐか」という一つのテーマに繋がっています。
会社を残すだけではなく、「次の世代が経営しやすい会社の型をつくる」。
これからの中小企業経営において、グループ経営という考え方も重要な選択肢の一つになっていくのではないでしょうか。
(税理士 齊藤 司幸)