お役立ちQ&A
中小企業の組織再編とは何か
経営
M&A最前線 バトンを継なげ!
~第1章 事業承継型M&A~
第6回「中小企業の組織再編とは何か」
中小企業の経営課題について、将来を見据えたグループガバナンスの強化、事業承継の円滑化、不採算事業の切り離し等の解決を図る有効な選択肢として、「組織再編」が活用されるケースが増えています。
本稿では、中小企業の組織再編の基本的事項について紹介します。
Ⅰ.組織再編とは
中小企業の組織再編とは、自社のビジョンや経営戦略、事業承継の目的に合わせて会社の枠組みを見直し、経営資源の最適配置を図るための手続です。
例えば以下のような目的で活用されます。
1.グループ経営の効率化と成長戦略
事業ごとの分社化やホールディングス(持株会社)体制へ移行することで、各事業の業績や責任の所在が明確になります。
さらにM&Aで譲り受けた企業を子会社としてグループに迎え入れていく成長戦略もイメージしやすくなります。
2.事業承継の円滑化
(1)ホールディングス体制の活用
ホールディングス体制においては、例えば最初に事業会社(子会社)の代表権のみを後継者に譲り、時機をみてホールディングス会社(親会社)の代表権も譲る等、段階的でスムーズな事業承継が期待できます。
(2)特定事業の分割
複数の事業がある場合、後継者に承継したい特定の事業のみを分社化することで、承継のハードルを下げる効果があります。
3.不採算事業の切り離し(選択と集中)
不採算事業や、本業とシナジーが薄い特定事業を分社化することで、経営の「選択と集中」が進み、第三者への承継(M&A)も実行しやすくなります。
Ⅱ.組織再編の主な手法
組織再編の主な手法としては、大別すると以下の4類型があります。
1.合併
複数の会社を1つの会社に統合する手法です。
一方の会社に吸収させる「吸収合併」と、新たな会社を設立して統合する「新設合併」があります。

2.会社分割
会社が営む特定の事業を切り出し、他の会社に引き継がせる手法です。
例えば、特定の事業部を独立させて子会社化する場合等に活用されます。

3.株式交換
既存の会社間で、親会社と子会社の関係を構築する手法です。
既存の会社を用いてホールディングス体制に移行する場合に活用されます。

4.株式移転
新たに親会社を設立し、既存の会社がその子会社となる手法です。
既存の会社の上に、新たにホールディングス会社を設立する場合に活用されます。

【留意点とM&Aへの活用】
組織再編においては、想定外の税務リスクが生じる場合があるため、事前の慎重な検討が不可欠です。
組織再編の税務については、第8回「組織再編の税務と実務」で解説します。
また、会社分割等の組織再編は、M&Aを行うための事前準備としても有効な選択肢です。
(税理士 中野 正人)